人は誰しも見られたくない、取られたくないものがあるはずです。何もかもがオープンな人はいないでしょう。その時人は見られないように、取られないようにカギをかけます。カギといっても、見えるものと見えないものがあります。家や金庫にかけるカギは見えますが、心にかけるカギは見えません。どちらにしても、触れられたくないものにかけることには違いはありません。カギさえかけておけば、外部の人は簡単には開けることはできません。ですから自分がそこにいなくても、安心してほかの場所に行くことができます。もしカギがなかったらどうでしょう。自分が大事にしているものを人に取られたり、触れられたくない過去に触れられたりしてしまいます。それはとても困ることになります。経済的にも、精神的にもダメージを受けることになります。現代社会ではカギがなければ、まともに生活を送ることは難しいでしょう。しかしカギといっても、必ず他の人が開けられないというわけではありません。カギとは人が作ったものですから、ほかの人に絶対開けられないというものは作れないでしょう。そもそも開けられなかったらカギではないのですから。カギの技術はいたちごっこです。どんなにセキュリティの高いカギを作っても、それを開けてしまう人は必ず現れてしまいます。ですからどんなに技術が進歩しても、完璧なカギというものを作ることはできないのです。しかもカギにはまだ弱点があります。かけた本人でさえ、カギをなくしてしまったら開けることができなくなってしまうのです。物理的なカギもそうですが、心にかけたカギもほかの人は容易に開けることはできません。心を閉ざしてしまった人の心を開かせるのは容易なことではありません。カギというものは便利なものですが、また不便なものでもあります。開けて欲しくないのに開けられてしまう、開けたいのに開けられない。カギというものは、思うようにはならないものです。